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【ネタバレ & あらすじ】映画・原作『否定と肯定』【結末 & 感想】

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映画『否定と肯定』を見てきました。以下にネタバレありであらすじと感想を書いていきます。

 

  

 

映画『否定と肯定』のあらすじ

 

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発端

アメリカのエモリー大学で教鞭を取る、歴史学者デボラ・リップシュタットは、ホロコースト否定論者に関する書籍「ホロコーストの真実 大量虐殺否定者たちの嘘ともくろみ」を出版したばかりだった。本の出版イベントでリップシュタットはスピーチを行う。

 

スピーチの最中に、リップシュタットの著作でホロコースト否定論者のひとりと挙げられたデイヴィット・アーヴィングが、いきなり叫び出した。リップシュタットが自分を侮辱していると非難し、アウシュビッツの実在を証明したら金をやるといってドル札を振り回した。

 

リップシュタットはホロコースト否定論者とは討論しないと、アーヴィングの挑発を退けた。なぜなら、ホロコースト否定論者と論争することは、かれらが歴史の記録を改竄したり偽ったりすることで事実を歪めているにも関わらず、かれらを「もう一方の側」として扱うことになるからだ。

 

アーヴィングは出版イベントでの騒動をビデオにおさめ、自分のブログにアップし、「リップシュタットはしどろもどろでまともに答えられなかった」と一方的な勝利宣言をする。

 

訴訟

アーヴィングが名誉毀損罪でリップシュタットを訴えたと、「ホロコーストの真実」のイギリスの版元であるペンギンブックスから連絡があった。アーヴィングがアメリカではなく、イギリスで訴訟を起こしたのには理由があった。イギリスでは名誉毀損の対象となった文章が真実であることを、被告側が立証しなくてはならないからだ。

 

リップシュタット側の弁護士チームの事務弁護士アンソニー・ジュリアス(公判の準備を行う)、勅撰弁護士のリチャード・ランプトン(法廷で弁論を行う)は、弁護方針を「アーヴィングがホロコーストに関する真実を歪めたこと。それが反ユダヤ主義に基づいたものであることを立証すること」とすることに決めた。また、リップシュタットには法廷で証言台に立つ必要はないことを告げた。争点がアーヴィングからずれるからだ。リップシュタットは渋々受け入れた。

 

アウシュビッツの科学捜査

収容所の存在を否定しているアーヴィングの主張が偽りであることを立証するため、リップシュタットと弁護士チームはアウシュビッツに向かう。ランプトンは待ち合わせに遅刻し、収容所で科学的な面についてしかコメントしない。自らもユダヤ人であるリップシュタットは、鎮魂の念を見せないランプトンの態度に苛立つ。

 

我慢しきれなくなり、チームから離れてガス室跡に向かったリップシュタットはそこで鎮魂の祈りを捧げる。

 

刺青 愚弄 信頼

裁判は32日間にわたった。毎日マスコミが法廷を取り囲んでアーヴィングとリップシュタットにコメントを求める。アーヴィングは、自説をとうとうと語り、リップシュタットはノーコメントを貫く。法廷ではアーヴィング側が「アウシュビッツの屋根に毒物を投げ込む穴は無かった。だから大量虐殺は無かった」と主張する。

 

裁判所から出ようとしたリップシュタットに、初老の女性が話しかける。彼女は腕まくりをして、数字が羅列された刺青を見せた。アウシュビッツの生存者である。自分を証言台に立たせて欲しい、あんな嘘には我慢できないと初老の女性に懇願され、リップシュタットは受け入れる。

 

しかし、事務弁護士のジュリアスは即座に否定する。その理由として、ジュリアスはビデオを再生した。そこには、アウシュビッツの生存者の女性にアーヴィングが「その刺青で今までいくら儲けたんです?」と愚弄する様子が映っていた。「生存者に対して絶対にこんな質問をさせるわけにはいかない」

 

明らかな嘘に対して、生存者に真実を語らせることも、自らが法廷に立って答弁することもできない。リップシュタットは深く思い悩む。勅撰弁護士のランプトンと対話し、彼がどれだけこの裁判について真剣に考えているか、アウシュビッツでの科学捜査にどれほど人間的・職業的に真摯に取り組んでいたかを理解して、ランプトンを信頼することを決心する。

 

最終弁論

専門家証人による歴史の史実に関する証言や、勅撰弁護士ランプトンの答弁により、少しづつアーヴィングの証言の荒唐無稽さが明らかになっていく。しかし、グレイ裁判官は最後にランプトンにこう質問する。「もし誰かが反ユダヤ主義者であり、その考えを真剣に信じているのなら、その人物を反ユダヤ主義者であると認めてもよいのでは?」

 

「アーヴィングが反ユダヤ主義者であるがゆえに、ホロコーストの真実を捻じ曲げた」という被告側の主張が、グレイ裁判官には伝わっていないのではないかとリップシュタット側は不安に陥る。

 

判決の日。グレイ裁判官は「被告勝訴とする」と述べた。アーヴィングはランプトンに「いい勝負だった」と手を差し出すが、ランプトンは無視する。リップシュタットは勝訴後のインタビューで感謝の念を語る。それを聴く人々の中で、刺青を見せた初老の女性が、涙を浮かべながら微笑んでいた。

 

 

映画『否定と肯定』 感想

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デボラ・リップシュタット教授

By International Committee of the Red Cross (ICRC) - Remembering the Shoah. 2/4 Presentations by Deborah Lipstadt and James Orbinski at 02:20, cropped, CC BY 3.0, Link

 

教科書的な、あまりにも教科書的な

昨今あまりないくらい直線的なストーリーの映画でした。訴えられた!→みんなで頑張った!→勝った! ジャンプでもないよ、こんなストーリーってくらいヒネリがない。良くも悪くも教科書的な映画でした。さすがBBCフィルムズが製作に絡んでいるだけある。

 

シャーロックかな?

BBC製作はいいのですが、ドラマ シャーロックに出てくる俳優さんがメインどころで出演してるんですよね。事務弁護士のアンソニー・ジュリアスは、シャーロックでモーリアーティ役を演じたアンドリュー・スコット、歴史証人のペルト教授はシャーロックでマイクロフトを演じた、マーク・ゲイティス。とくにアンドリュー・スコットがモーリアティ教授にしか見えなくて集中できませんでした。

 

ハイライトのハイライト

この映画の原作は、被告となったリップシュタット教授が書いた「DENIAL HOLOCAUST HISTRY ON TRIAL」です。先に原作を読んでから映画を見たのですが、原作のハイライトのハイライトをつなぎ合わせて、映画にしたような印象を受けました。とくに法廷のシーンでは、弁論のターニングポイントがきっちり抑えられているのですが、ターニングポイントの連続なので、それと分からなくなっている。悪く言うとメリハリがなかったです。

 

邦題がイマイチすぎ。。。

ホロコースト否定問題をまず知るという導入の意味では、観る価値のある映画だと思います。ただ、この邦題「否定と肯定」は頂けません。リップシュタットはホロコースト否定論者とのディベートを一貫して拒否しています。

 

言論の自由も、両論併記も、その発言が事実に基づいている場合にのみ意味があります。ホロコースト否定論については、事実に基づいていないので、両論併記するに値しないのです。にも関わらず、「否定と肯定」って邦題つけちゃうのは何でなんだろう?謎です。

 

映画『否定と肯定』 まとめ

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訴訟の元になった「ホロコーストの真実 大量虐殺否定者の嘘ともくろみ」初版

By Source, Fair use, Link

 

映画としては、あまりにも教科書的過ぎて好きになれませんでした。ただ、ホロコースト否定問題を知るきっかけとしては良いと思います。そして映画を見て、少しでも興味を持った方は、ぜひぜひ原作本や、この訴訟の元になった本を手に取って頂きたいです。

 

何故なら、このホロコースト否定問題について扱うこれらの本は、ホロコースト否定という個別の問題を扱っているだけでなく、「理性だけでは打ち勝てない問題に、人間はいかに対処するべきか」という現代にも通じる普遍的な問題への一つの回答となっているからです。

 

映画の原作本『否定と肯定

この訴訟が、歴史的にどのような意味を持つかのが良く理解できる本です。裁判に関わる部分だけでなく、リンプシュタットの学生時代のエピソードもかなり読み応えがありました。またイギリス風の控えめな表現にとまどったりする著者の様子など、少し笑えるところも。ちょっと分厚いですが、テンポよく読み進められます。オススメです!

 

訴訟の元になった「ホロコーストの真実 大量虐殺否定者の嘘ともくろみ」は絶版なのでしょうか。Amazonで「この本は現在お取り扱いできません」となっていました。わたしは図書館で借りましたが、閉架にありました。もっと読まれるべき本だと思うので、残念です。英語版のリンクだけご参考に載せておきます。しかし、この副題の"The Growing Assault On Truth And Memory"って、邦訳との温度差が凄いですね。。。

 

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