おにぎりだもの

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「9プリンシプルズ:加速する未来で勝ち残るために」MITメディアラボ所長 伊藤穰一

「9プリンシプルズ:加速する未来で勝ち残るために」はMITメディアラボ所長 伊藤穰一の初の著作。正確にはWIRED編集者ジェフ・ハウとの共著です。今までの常識が通用しなくなりつつある、この激変する現代社会で通用する理念、哲学、行動原理はどのようなものか?を9つの原理原則にまとめた本です。

 

 現代は公務員やってりゃ、大企業につとめてりゃ、公認会計士資格もってりゃ安心って世の中じゃないですか。それどころか、下手すればAIのおかげで仕事がなくなるかもしれない。何を勉強すれば、どうふるまえば現代社会に振り落とされず、生き残ることができるのか。少し感度の高い人なら、こんな問いがふと頭をよぎることがあるでしょう。この本は、問いに対して指針を与えてくれます。

ひさしぶりにわたしを書籍の購買行動に走らせたこの本を、今回のエントリーで紹介します。2017/7/29に緊急開催された出版記念トークイベントに参加したので、そちらのレポも合わせてどうぞ。

 

伊藤穰一ってだれ?

 伊藤穰一の細かい生い立ちはwikipediaで見てもらうとして、訳者あとがきから以下引用します。

伊藤穰一は)日本のインターネット黎明期より常に時代に先んじた活躍を見せてきた(中略)。かれはテクノロジストであり、ベンチャー企業家であり、アクティビストであり、常に先端的なコミュニティの中心部に位置している存在だ。おもしろそうな新分野を見つけてあれこれ調べていると、ほぼ必ずといっていいほどかれの名前に出くわす。そして主流派の単純なビジネスマンでなく、学者でもない、ある意味でパンクな立場を維持し続けていたのが、あるときMITメディアラボの所長とい立派な地位におさまってしまったのも、昔からからの活躍を見てきた人々を驚かせた。

          「9プリンシプルズ:加速する未来で勝ち残るために」 324ページより 

まあ、とにかくアメリカで活躍するすごいデキる日本人だと。「知的世界のイチロー」と思っておけば間違いないです。

  

「9プリンシプルズ:加速する未来で勝ち残るために」内容紹介

この本で言いたかったことを、伊藤穰一自身がWIREDで語っていたので引用します。

いまは「答えを出す」よりも「質問をする」という段階にあると思っていて、それはつまり、そもそも壊れている人間の倫理観や経済産業で壊れた人間の社会を見直す段階にあるということなんだと思う。その問いを見つけるためのレンズのひとつにサイエンスがある。そもそも世の中は変化している。その変わりつつあるところで、どういう姿勢で向かい合えばいいのかということを示すのが、この本で書きたかったことなんです。

  山形浩生×伊藤穰一「面白いものは探しに行くのではなくて、 フィルターを外すと見えてくる」『9プリンシプルズ』インタヴュー

 

具体的にどういう姿勢で向かい合えばよいのかが、本質の9プリンシプルにまとめられています。訳者あとがきで平たく書き直されたものがこちら。

・自然発生的な動きを大事にしよう

・自主性と柔軟性に任せてみよう

・先のことはわからないから、おおざっぱな方向性で動こう

・ルールはかわるものだから、過度にしばられないようにしよう

・むしろ敢えてルールからはずれてみることも重要

・あれこれ考えるより、まずやってみよう

・ピンポイントで総力戦やっても外れるから、取り組みもメンバーも

 多様性を持たせよう

・がちがちに防御をかためるより回復力を重視しよう

・単純な製品よりはもっと広い社会的な影響を考えよう

                            「9プリンシプルズ:加速する未来で勝ち残るために」 328 - 329ページより 

軽やかですね。この本はもともと2012年にはできていたけれど、取り上げている例が古くなったりしていたので、最新技術動向に合わせた例に刷新して今回出版されたそうです。上記の原理原則が実現された例を、アラブの春の失敗、ビットコインの台頭、合成生物学などを用いて、9つの原理を説明してくれます。↓にあるように、今までの常識が通用しない世界のガイドラインなのです。1つ1つの章が知的興奮にあふれていてゾクゾクするくらいです。

これらの原理は、世界の新しいオペレーションシステム(OS)を使うにあたっての有益なヒントだと思ってほしい。この新しいOSは、過去数世紀に使ってきたものを少しバージョンアップしたようなものじゃない。全く新しいメジャーリリースだ。

                            「9プリンシプルズ:加速する未来で勝ち残るために」 23ページより 

 

 

9プリンシプルズ 出版記念トークイベントレポート

 緊急開催!と銘打たれた出版記念トークイベントに参加してきました。参加費が9000円(書籍付)ですよ。高くないですか。しかも、わたし既に本を購入してたんですよ泣。でも伊藤穰一の話が生で聞ける機会を逃すわけにはいかないので即ポチです。

トークイベントは対談形式で、お相手はWIRED日本版の編集長・若林恵でした。男性です。「いやー、今日ぼく昼まで寝てたんですよね」からはじまるオフビートなトークで笑いが絶えませんでした。

1時間45分のイベントでしたが、15分くらいに思えるほど面白くてあっという間に時間が経ちました。

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知的興奮がかきたてられる話ばっかりでしたが、特に興味をもったのが「もう世界は変化している」という話でした。

 

ざっくりまとめると、

シリコンバレーではテック大好き白人ビリオネアがAIでシンギュラリティでウェーイとか盛り上がっているけど、それほど世界は単純ではない。

もっと世界は複雑でつきつめればスピリチュアルな方向に向かっていく。

・ゴールに到達するのが人間の目的ではない。なぜなら死が人生の最終到達地点なので、ゴールが目的なら死ねばいいって話になる。

「生きるとは何か?」が一番重要な問いである。そのような哲学的な話をする場がない。

古代ギリシャでは哲学することが仕事で、あとは奴隷。今後は一部の人はロボット並みの奴隷のような仕事をするような社会になるかもしれないが、哲学的思考をすることが人間の活動のメインになっていく。

編集長が「どれくらいのタイムスケールでそのような社会が実現すると思いますか?」と質問したところ、伊藤穰一は間髪いれずに「もうその世界は来ている」と答えました。ここが一番震えましたね。もう世界は変化している。未来、いや未来だと思っていた世界にわたしたちは生きているのです。「ロボット並みの奴隷のような仕事」をするひとを「サラリーマン」とすると、「哲学的思考をするのが仕事の人間」が「フリーのプロブロガー」と見立てられなくもない。

「フリーのプロブロガー」のひとたちは、「経済産業で壊れた人間の社会を見直すため」の問いを、体を張って発しているのかもしれない(自覚的か無自覚かはわたしにはわかりませんが)。そう感じました。

こわい世界ですが、でもおもしろい!

 

いやね、おもしろい!ってのは最初からあったんですよ。でもこの本って、MITの、オックスフォードの、シリコンバレーの、白人テックビリオネアの、雲の上の話ばっかりなんですよ。この狭い日本で大した金も才覚もなく右往左往しているド庶民のわたしは具体的になにすればいいのって思いますよそりゃ。伊藤穰一とか呼び捨てで書いてますけど、アメリカ屈指のエリート名門校MITの研究所の所長さんですよ。どんだけ偉いんですか。でも、生で話きいてるうちに、結局は「生きるとは何か」、「幸せとは何か」を自分の頭で考えること、それを楽しめばいいことに気づいたんですよね。道が見えなくて迷うこともあるけど、そもそも「道って何?」、「道を通る必要があるの?」って立ち止まって考える、そしてその状況をおもしろがることなら自分にもできるし、実際それって、もうガチガチに固められた道をなぞるだけの人生よりたのしいはず。

 

 

9000円の価値はあったトークイベントでした!高いけどw

 

おまけ

伊藤穰一関連のリンクを貼っておきます。とにかく面白いことの最先端にいる人なので、今後ウォッチしていきたいと思います。

 

twitter: Joi Ito (@Joi) | Twitter

ブログ:  https://joi.ito.com/

Harvard book storeでのトークイベント動画:

https://joi.ito.com/weblog/2017/02/25/book-talk-at-ha.html

バラク・オバマとの対談:

バラク・オバマが伊藤穰一に語った未来への希望と懸念すべきいくつかのこと | WIRED.jp

翻訳者との対談:

山形浩生×伊藤穰一「面白いものは探しに行くのではなくて、フィルターを外すと見えてくる」:『9プリンシプルズ』インタヴュー|WIRED.jp