「肉体と精神の限界の超え方」というトークイベントに行ってきました。トランスジャパンアルプスレース(以下:TJAR)実行委員代表の飯島浩さんと、青学駅伝部フィジカルトレーナーの中野ジェームス修一さんの対談です。
わたしは市民ランナーでしかないですが、自分の限界より少し上に到達したいので、日々トレーニングや練習を積み上げています。飯島さんや中野さんのお話しをうかがうことで、自分の限界を突破するヒントが見えるかなと考え、トークイベントに参加してみました。今回ちょっとそのヒントが見えた気がします。以下にレポートしていきますね。
日本で最も過酷なマラソン トランスジャパンアルプスレース TJAR
TJARは国際的な基準からも、最も過酷なレースに分類されます。距離415km、累積標高差26662mを自分の足だけで走る、制限時間8日間のレースです。コースは平均的なハイカーで33日かかるそうです。
このレースに参加するためには、参加要件を満たし、書類選考と実技試験をパスする必要があります。以下が書類選考に進むための参加要件(抜粋)です。
死ねる感じしますね。露営経験は雨天であれば、なお良しとのことでした。わたしは全部無理です(笑)フジロック参戦してた頃はキャンプやってましたが、雨は辛かった。。。ていうか、もうテント泊は無理。
この条件を満たして書類選考に応募してくる方が80人程度、書類選考で残るのが60人程度。最後に選考会で25人程度に絞られるそうです。実技経験はトレイルラン20時間程度を行い、「いま捻挫したと仮定して、手持ちの荷物で応急処置をせよ」などの突発テストをやるそうです。なぜなら、TJARは基本的にエイドがなく、捻挫や骨折をしても、自分でケアして自分の足で下山しないといけないからです。過酷っ!
参加者が語るTJAR
TJARの過酷さ
実行代表委員の飯島浩さんは、計4回のTJAR完走歴あり。その体験を語って頂きました。
- 幻覚は普通に見る。揺れているススキが、ハイタッチしてくる人に見えたりとか。コンビニと思ったら石だったりとか。
- 雨の日にビバークして、目が覚めたら水の上に浮いていた。
- 食べて寝るしかリカバリ方法がない。体調が悪くても食べないと走れない。戻しそうなのをこらえて、泣きながらカレーを食べたことがある。
ちょっと何言ってるか分からないくらいの過酷さですね。幻覚て!フルマラソンも辛いけど幻覚までは見ませんからね。。。
TJARに挑戦する意味
なぜそこまで過酷なレースに挑戦しつづけるのか?という質問に対して、飯島さんは以下の3点を回答してくださいました。
- ゴールのヨロコビは何物にも代えられない。
- 旅のようなレースであり、他の参加者と和気あいあいと楽しめる。
- レース中に自分の走ってきたコースを振り反って眺めた時、非常に美しいと思えた。
要約すると、達成感・連帯感・喜びでしょうか。「和気あいあい」というフレーズに、ちょっと驚かされました。飯島さんによると、「他の参加者は確かにライバル。しかし、相手を出し抜こうという雰囲気はない。話をして笑いながら一緒に走ることもある。誰かの姿が見えなかったら心配する。」そうです。
おそらくTJARは、他人に勝つためのレースじゃないんですね。このレースは、己との戦いであり、参加者は全員戦友みたいに思えるんじゃないんでしょうか。
限界を超えるためのヒント
TJARの話はとにかく過酷!なのですが、飯島さんは淡々と話されるんですよね。そして辛い・苦しいって単語はほとんど出てこない。我慢や苦労もたくさんあると思うんですが、そういう話はあまり出てこず、フォーカスされるのは和気あいあいと楽しく走っているというところ。
飯島さんのお話しをうかがって、自分の限界を超えるヒントは ↓ なのかな、と感じました。
- 楽しむこと
- 仲間をつくること
- 心の余裕をもつこと
すっごくシンプルですよね。普段の練習もガリガリ追い込んでいるのかと思ったら、月間走行距離200Kmくらいで、ケアはセルフマッサージくらいっておっしゃるんですよ。限界を超えるというと、辛くて苦しいことを、歯を食いしばって頑張るってイメージがありました。しかし大事なのはそこじゃないんだな、と実感。
今の自分は、トレーニングもランも楽しいし、トレーナーさんにもついてもらってるし、気分的に余裕もあって、いい方向で進んでいるのかなと。このままコツコツと日々のトレーニングを積み上げていきたいと思います。
TJARについて詳しく知りたいかたにオススメの本。
DVDもあります。絶対泣くので、観るときはティッシュをお忘れなく。