持久力測定@東京体育館 後編です。前回は最大酸素摂取量(VO2MAX)測定の様子と、循環器系に問題が無かったところまで書きました。
VO2MAXはアップルウォッチでも簡単に測れるので、もしお持ちでしたら自分でも試してみてくださいね。
今回は測定結果に基づいた、マラソントレーニングに関する相談についてです。
↓↓↓ 前回の記事 ↓↓↓
いやはや、この相談で自分のマラソントレーニングに関する常識がバッキバキに崩壊しました。月間走行距離伸ばす&最大酸素摂取量上げる&筋力つけるで速く走れるようになると思っていましたが、違うんです!速く走るために必要なのは、心拍数を意識したトレーニングなんです。
心拍数を意識しないトレーニングは効率が悪い?
さて、マラソントレーニングに関する相談内容を再現します。青字が相談員の先生、赤字がおにぎりです。(相談員の先生が若干高飛車なのは設定です。本当は優しくて親身にお話ししてくださいました。)
もっと速く走れるようになりたいんですよね〜。どんなトレーニングすればいいですか?現在は、平日5〜10Km週2で走って、土日どっちかで20Km以上のLSDやってます。
心拍数はどれくらいでトレーニングしてますか?
アベレージで150ちょっとくらいですかね。
チュウトハンパ!
え?
中途半端すぎ。しかも効率悪いし!
ええ?
AT値って知ってますか?
マニュアル派なんで。。。
AT車じゃなくて!
走るための2つの回路
気を取り直して、AT値とは「無酸素作業閾値」のことです。なんのこっちゃ?
走るためには有酸素回路と無酸素回路の2種類があります。遅いペースで走るときは有酸素回路が使われ、早いペースで走るときは無酸素回路が使われます。
有酸素回路
エネルギー源(糖質・脂質)を酸素によって燃焼させ、エネルギーを発生させる。
無酸素回路
筋肉中のグリコーゲンを使って、エネルギーと乳酸を発生させる。
運動時に、有酸素回路メインから無酸素回路メインに切り替わる境目となる心拍数がAT値です。AT値を超えると、疲労の蓄積や息切れにより、長時間運動を継続することが難しくなります。
わたしの場合はAT値の心拍数は113でした。心拍数が113を超えると有酸素回路より無酸素回路が多く使われるようになり、疲れたり息が切れたりして長時間走れなくなるということです。
AT値を利用したマラソントレーニング
あの、AT値の説明は分かったんですけど。トレーニングとどう関係するんですか?
フルマラソンはゆっくり長く走るスポーツよね?
あの、なるべく速く走りた。。。
シャラップ!まだそこにいっちゃいけないの!同じペースで走りきろうとしても、後半疲れてくるとペースが落ちるでしょ。
おにぎりだもの。。。
シャラップ!ペースを保って長い距離を走るためには、スタミナを向上させる必要があるの。スタミナはスピード持久力といってもいい。このスピード持久力を向上させるには、有酸素回路を長く使う必要がある。だからAT値を上げるトレーニングが必要なのよ。
どうやったらAT値が上がるんですか?
AT値+10の心拍数で長くゆっくり走るトレーニングをすることね。
わたしのAT値は113だから、+10して、心拍数123で走るってことですか?
イエス!
それって走るっていうか足踏みレベルなんですけど。。。
あー、そういうこという人多いのよねー。RPEとずれるのよねー。
RPE???
RPEは自覚的運動強度の略。多分この表を見たことがある方もいるのではないでしょうか?
心拍数120が「ややきつい」になるのですが、わたしにとっては「楽」に感じられちゃうんですよね。全然運動した気にならない。運動時は大体140~150くらいで慣れてしまっているので、120だと全然きつくない。
人によってはRPEの定義と自分の体感がズレてしまい、AT値+10の心拍数で走ることに抵抗を感じるとか。わたしもそうです。
マラソンて、どんどん走ってどんどん心臓と筋肉に負荷かけて早くなると思っていました。でも実は、運動してる実感がないくらいゆっくり走ることが早く走るためのトレーニングになるのです。今までの常識が完全に崩壊しました。
マラソントトレーニングの意識改革を!
こんな楽なトレーニングでいいの~って思ってるでしょ。
えーと。。。
いいの。そういう人多いの。でもねー、これやってると全身が解放されて、気持ちいい〜!!楽しい〜!!!ってなってくるから!
はあ
肩こりも治るし
はああ
効率いいトレーニングだし
はあああ
体脂肪率も絶対確実に減るし
ってはああああああああん!やります!!
気持ちよくて楽で肩こりが治って効率が良くて体脂肪率が下がるマラソントレーニング!一粒で5回おいしいトレーニング!!レロレロ!!!
すみません、取り乱しました。相談員の方に繰り返し言われたのは「マラソンは楽しくて気持ちいいの!」ってフレーズです。20回くらい聞いたかもw 「マラソンは追い込むスポーツ」という意識を一度取っ払って、「とにかく楽しむ!」って意識に変えていくことも重要だそうです。
心拍トレーニングの人体実験をしてみる
ランニングの本で、AT値や心拍トレーニングについて読んではいたのですが、今まで実践できていませんでした。
原因として自分の正確なAT値を知らなかったこと。自分が「楽」なペースがAT値付近と思い込んでいました。持久力を付けるために、自分が「楽」なペースでLSDをやっていましたが、その心拍数がAT値より大分上だったので、効率が悪いトレーニングになっていた。
二つ目の原因として、AT値を意識したトレーニングの経験談を知らなかったことです。本やネットでマラソンのトレーニング方法をいろいろ調べましたが、インターバル走についてはよく出てくるんですけど、AT値を意識した経験談って読んだことがなかったんですね。
今後のトレーニング方針としては、以下のようにします。
- 4〜7月は心拍数123/分でLSDを行う。
- 8月からはインターバルトレーニングを行う。心拍数はピーク時160/分、レスト時は113/分。(レスト時にこれ以上落とすとダメだそうです)
- とにかく楽しむ!
AT値付近で走るのって正直だるいです。ほとんど足ふみ程度ですもん。これでホントにトレーニングになるの?って気分になる。これで成果が出た人の経験談も読んだことないし。
なので、これから5か月間、AT値を意識したトレーニングは本当に効果があるのか、おにぎりが人体実験してみます。5か月後に再測定して結果報告しますね!
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■2018/10/8追記
この後、転職活動が忙しくなり、AT値トレーニングを開始できたのは何と、ほぼ半年後でした。。。
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最後に今回(2018/3)の持久力測定でもらった数値データを貼り付けておきますね。
AT値トレーニングを半年ほど続けた後に、また測定してみる予定です!