おにぎりだもの

よしなしごとをつづっています。

アンテベラム 〜ポップコーン一粒も食べられなかった〜

映画「アンテベラム」を観た。これは前情報ゼロで観るべき映画だ。予告編すら観ない方がいい。これから先は一切あらすじに触れずに映画の感想を書く。それでもまだこの映画を観ていない人は、ここで読むのをやめてほしい。少しでもこの映画に興味を持ったなら、今すぐ映画館に行ってこの映画を観てほしい。

 

アンテベラム

f:id:onigiri777:20211107160759p:plain

©️Lions Gate

 

「アンテベラム」。全く聞き覚えのない単語だ。そして私はホラー映画が嫌いだ。ホラーといえばゴーストバスターズが関の山だ。(ホラーじゃねえ)。しかし「アンテベラム」のポスターを目にした瞬間、「これは映画館で観なければ」と感じ、速攻で翌日の映画のチケットを予約していた。何故かはよく分からない。ポスターの構図が羊たちの沈黙に似ていたからかもしれない。

 

【クラリスは羊たちの夢を見るか】

 

1秒もスクリーンから目を離せない映画

あらすじを一切書かずに映画について語ることは不可能に近い。でもトライしてみよう。この映画にはそれだけの価値がある。あらすじを書かずとも、この映画の凄さをあなたに知ってほしい。この映画を一言で表すと、「1秒もスクリーンから目を離せない映画」だ。一切の予定調和を、全ての観客の予想を鮮やかに裏切り続ける映画だ。私はこの映画を観る前にポップコーンを買って、予告編を観ながらボリボリ食べていた。夢のコラボであるカルビーサッポロポテトバーべQ味だ。世の中にこんなに美味しいジャンクフードがあるだろうか。コカインがふりかけてあるんじゃないかってくらいの中毒性だ。烏龍茶との相性は最高だ。無限にボリボリいけそう。

 

しかし、本編が始まってからは、もう一粒たりともポップコーンを食べられなかった。ポップコーンに意識を向ける余裕が一切ない。スクリーンで起こっていることを目にしたらポップコーンなんて食べる気にならない。私は20年以上も映画館に通っているが、こんなことは初めてだった。

 

幾重にも襲い来る深淵、それは過去

この映画を観ている間、何度も底なし沼を覗くような恐怖に襲われる。何人も、何十人も、何百人もの肉体と悲鳴と苦痛を飲み込んできた、おぞましい沼だ。覗き込んだだけで肌が粟立ち、背筋が凍るような沼だ。こんなものの存在がこの世に許されていることが、目眩がするほど恐ろしい。その正体は過去であり、それは現在の礎である。この連続性こそが、映画「アンテベラム」の底無しの恐怖の源泉だ。映画を未見の人はこの一文を読んで「ちょっと何言ってんのか分かんない」としか思わないだろう。映画を観れば意味がわかるので、是非観てほしい。あなたの今までの映画体験が焼け野原になるような106分が味わえるはずだ。